園長のコラム

園生活の中での日々の子供たちとの関わりから、私たち大人が「よりよく生きる」ことを考える・・・「幼児教育」をテーマに神明幼稚園の園長自らが、思いを綴ります。

第9回 お題は「いざこざ」

いざこざ考

 

 保育の場で私たちは、「いざこざ」ということばをよく使います。

一般には、「いざこざ」ということばは、悪い意味で使うことが多いと思いますが、面白いことに保育の場ではそうではありません。

 子どもたちが成長し、友だちとの関係が豊かになる中で、人間関係のトラブルが生じてくるのは当然であり、それは成長の過程のひとつ、と捉えるからです。
 幼稚園の先生たちは、学校で保育学などの課程を学び、幼稚園教諭の教員免許を取得するわけですが、その授業の中でも「いざこざ」ということばはよく出てきます。「3歳児のいざこざについての考察」なんていう題名の論文を読んで、話し合ったりするんですよ。というわけで、私たち幼稚園の先生たちは、「いざこざ」ということばを、けっして悪いことだとは思っていないどころか、むしろよい意味でとらえている。それは、幼稚園で生じる大小さまざまな「子どもたちのいざこざ」を、成長の過程で当然に生じる当たり前のこと、ととらえているからです、ということをを先ず初めに強調しておきたいと思います。

成長の過程での「いざこざ」

 

 さて、そういうわけで、幼稚園では毎日、子どもたちどうしの大小さまざまな「いざこざ」があります。あかぐみの入園当初の「いざこざ」は単純で、ある意味かわいらしいものです。おもちゃを取った、取られた。思わず手が出て、ぶった、ぶたれた。それに対して、「順番こに使おうね。」「お口でちゃんと言ってごらん」「いきなりぶったら痛いよ」という具合に、ことばをかけていくことになります。もちろん、怪我につながるような行為は厳しく注意し、制止しますが、こうした「いざこざ」を通じて子どもたちは、集団生活の中では必ずしも自分の思い通りに行かないこと、自分だけではなく相手にも気持ちや立場があることを、毎日の園生活の中で学んでいきます。
  これが、あか⇒きい⇒あお、と進み子どもたちが成長するにつれて、生じる「いざこざ」も、だんだんと複雑になってきます。例えば、みんなで遊んでいる中で、Aがルール違反をする。それを見たBが、強い口調で注意する。あるいは手が出る。その行為に対してAが怒る。こうなると、A、B、それぞれに言い分が生じてきます。単純に、ルール違反をしたAが悪い。ぶったBが悪い。とは言えません。担任の先生が、それぞれの言い分を聞いたうえで、自分だけではなく相手にも言い分があることに気づかせるよう、援助していくことになります。
  さらに、きい⇒あおと進む中で、そうした援助をする担任の役割にも変化が生じてきます。あおぐみでは、子どもたちは私たちが思う以上に成長していますから、上記のような場面でも、子どもたちの中に仲介者が現れて、「Aが最初にズルしたのがいけないよ」「でも、Bがもっと優しく言えばよかったんだよ」などというクラスの中でのやり取りが生じてきます。こうなれば、担任としては解決を子どもたちにゆだねて、ほほえましく見守っていく、というような選択も生じてきます。

いざこざへの保護者の対応

 

さて、こうした「いざこざ」に保護者の方は、どう対応したらよいのでしょうか。昔から「子どものけんかに親が出るな」と言うように、基本的には「温かく見守ってほしい」と思います。子どもたちが自分で問題を解決していく力を育んでほしいからです。ただし、もちろん心配なことがあれば、遠慮なく担任に相談してほしいと思います。でも担任の先生に相談するのは勇気がいるし…。そんなことはありませんよ。神明幼稚園は送り迎えの幼稚園ですから、担任と保護者の方が毎日顔をあわせています。この状況で言いにくかったら、小学校に行ったらどうするんですか!(笑)それに、皆さんいろんなことを幼稚園に言ってきますから、私たちにとって、そうした保護者の不安に耳を傾けることは当たり前の仕事です。むしろ、お母さんはこのことを心配してるんだ、と言うことが分かり、幼稚園にとって大事な情報です。また、園生活で生じる「日常のいざこざ」については、園からも必要に応じてお伝えしているつもりです。

楽しくなければ幼稚園ではない 楽しいだけでは幼稚園ではない

 この言葉は、実は葛飾区のまどか幼稚園のキャッチフレーズです。園長の町山先生には、いろいろいとご教示いただいていますが、この言葉も示唆に富んでいますね。神明幼稚園の「あそびこむ」園生活。子どもたちが「楽しい」と感じて、毎日の生活や活動に取り組んでほしいと思います。その「あそびこむ」園生活の中には、大小の「いざこざ」も含まれています。それらを見守り、子どもたちがうまく解決していくことを援助していきたいと思います。

 

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