園長のコラム

園生活の中での日々の子供たちとの関わりから、私たち大人が「よりよく生きる」ことを考える・・・「幼児教育」をテーマに神明幼稚園の園長自らが、思いを綴ります。

第6回 「たてわり」について

 「たてわり」の活動について、「以前はたてわりの活動を積極的に取り入れていたのに、最近はあまりしていないようですが、どうしてですか?」という質問を何回か受けました。この機会に、思うところを述べたいと思います。

 

「たてわり」とは

 「たてわり」という言葉になじみのない方のために、「たてわり」の説明をまずしましょう。

幼稚園は基本的に(学校もそうですが)年齢別に子どもたちを分けて学年を編成し、同年齢の集団(学級)を作って教育をします。これは言わば「よこわり」のシステムです。 それに対して、学年の異なる子どもたちをいっしょにして異年齢の集団(学級)を作る学級編成の方法を、たてわりといいます。

「たてわり」のメリット・デメリット

 「たてわり」のメリットは、異年齢の子どもたちが関わることで、さまざまな「よい経験」を子どもたちができることです。
  年長の子どもたちは年少の子どもたちの世話をしたり、リードする経験をすることで、自信をつけたり、年少者を慈しむ気持ちが養われたりします。逆に、年少の子どもたちは年長の子どもたちから刺激を受け、能力を伸ばすことができます。
  近年、日本の幼稚園や小学校の教育では、「たてわり」が注目されています。その理由は2つあると思います。一つは、兄弟の数が減り、子どもたちの育ちの中で、異年齢の子どもと関わる機会が減っているため、「たてわり」によってそういう経験をする機会を与える必要が生じたこと。もう一つは、少子化で幼児・児童数が減ったため、学級の人数が減り、あるいは学級そのものの数が減って単学級の学校・幼稚園が増えたりしていることで、子どもたちの活動の内容が限られてしまうケースがあること。例えば、10人の単学級では、ドッジボールをするためには、異なる学年と合同で活動せざるをえない、ということです。
 しかし、「たてわり」にもデメリットがあります。それは、年齢が異なる集団で活動をすると、特に年齢が小さいほど発達段階に差があるため、効率が悪いということです。例えば、幼稚園で「おりがみ」の活動をするとき、3歳と5歳では、理解度も、手先の器用さも、はさみやノリの使い方も、大きな差がありますから、いっしょに楽しく活動をするのは難しい。そういうことです。
したがって、年齢別の学級編成をベースにして、必要に応じて「たてわり」の形態を取り入れていく、というやり方が一般的です。

神明幼稚園の「たてわり」の始まり

 神明幼稚園で「たてわり」を意識するようになったのは、今から6年前のことです。この年は入園児が少なく、20人弱の学級となりました。このクラスが年少、年中と進むにつれて、人数が少ないため今まで行ってきた活動がうまくいかない。今まで経験させてあげられたことができない。という悩みを感じるようになりました。それを補うために行うようになったのが「たてわり」の活動でした。
  例えば鬼ごっこなどの活動は、人数が少なかったり、メンバーが限られると発展しにくくなります。そこで、年中だけで人数が少ないならば、年長や年少といっしょにやってみよう。
 そんなわけで、神明幼稚園の「たてわり」は、クラスの人数の少ないことを補う手段として始まりました。
  少人数のクラスというと、行き届いた保育というイメージがありますが、必ずしもよいことばかりではありません。大人数の集団では、いろいろな子どもと交わることで切磋琢磨する関係が生じ、子どもたちがたくましくなる、というメリットが確かに有ります。
 そしてそれ以上に、前述したように「たてわり」には、年長児が年少児を慈しむ気持ちが育まれるなどの、さまざまな効果があることを感じました。そんなわけで、平成13、14年ごろは盛んに「たてわり」の活動を強調した時期でした。

今の神明幼稚園、そして進化した「たてわり」

 さて、今の神明幼稚園ではたしかに、以前ほど「たてわり」と言わなくなっていると思います。それには二つの面があると思います。
  一つは、園児数が増えたため、以前のように人数の少ないことを補うために「たてわり」を取り入れる必要性がなくなったことです。
  もう一つは、(こちらがより重要なのですが)神明幼稚園の「たてわり」が進化し、以前のようにことさらに「たてわり」と言わなくても、普通の園生活の場面の中で、異年齢の子どもたちが関わる機会が増えた、ということです。
  年長と年中のクラスは、2階で隣同士なので、ふだんから活動によっては合同で行ったりしています。例えば、劇遊びの活動の時期には、お互いに行き来して見せ合ったりしますし、年中の活動で初めて「おにごっこ」をするときには年長児と合同にして、見よう見まねで新しい遊びのルールを覚えていくこともします。そうしたふだんの交わりがあるので、園庭での自由な遊びの時間にも、自然に異年齢の子どもたちが関わる場面が、以前とは比較にならないくらいよく見られます。
  私は、それは神明幼稚園の「たてわり」の進化した形だ、と思っています。

 

▲ページトップに戻る