園長のコラム

園生活の中での日々の子供たちとの関わりから、私たち大人が「よりよく生きる」ことを考える・・・「幼児教育」をテーマに神明幼稚園の園長自らが、思いを綴ります。

第5回 子どもたちを「おおらかに」見守ろう


できないことを教えるよりも、できるようになったことを教えよう

 

 「子どもはほめて育てよ」とはよく聞く言葉ですが、実行するのはなかなか難しいですよね。親としては、ついついわが子に対しては、口うるさくなってしまいます。
 しかし、幼稚園であおぐみとあかぐみを比べると、その違いにびっくりしますよね。子どもたちは、幼稚園の3年間で大きく成長しているということです。子どもたちの様子を丁寧に見ていくと、実にいろいろなことができるようになっています。子どもたちが「できるようになったこと」にしっかり気づいて、ほめてあげたいですね。成長を認められることで、子どもたちは自信をもち、さらにいろいろなことにチャレンジする気持ちになっていくのです。

日常生活の些細な場面で成長を見落とさないで

  幼稚園での毎日は、子どもたちの成長に気づく、うれしい場面がたくさんあります。神明幼稚園では、そんな喜びを保護者の方々にもお伝えしようと、日常の「小さな幸せ」をデジカメの写真でこまめに掲示しています。今回は、ある日のきいぐみのひとこまを紹介しましょう。

きいぐみでは運動会の後から「リーダーさんの活動」が始まりました。毎日の生活の中で、活動の準備をしたり、いろいろなお仕事をしてくれます。朝のお集まりの時には、みんなの前で起立して今日のお休みを報告します。お帰りの会の時には、明日のリーダーさんの名前を言って引き継ぎをします。最初は、みんなの前で発表するのが恥ずかしくてうまく言えない子もいますが、励まされて上手に言えたときの表情は、誇らしそうでなんとも言えずかわいらしいです。


いろいろな子どもたちがいることを知ること

 

 子どもたちには、それぞれいろいろな個性があります。機会があるごとに申し上げていることですが、私は常々、子どもたちにとって幼稚園で一番大切な経験は、「いろいろな子どもたちがいることを知ること」、そして「いろいろな子どもたちがいる中で自分の居場所があることを知ること」だと思っています。
 幼稚園には、活発な子もいれば、おとなしい子もいます。お母さんたちの悩みを聞いていると、そのほとんどは単純に分類してしまえば、次の2つに大別できるような気がします。活発な子の親は、集団生活のルールを乱したり、他の子に迷惑をかけていないか、心配しています。おとなしい子の親は、もっと堂々と自分の気持ちを言えるようになってほしいと思っています。
 幼稚園で私たちは、そんな子どもたちの個性を尊重しながら、集団生活を進めていきたいと毎日思っています。活発な子は、その元気なところは伸ばしながら、自分の気持ちで突っ走っているときには、周囲の気持ちや状況に気づくように言葉かけをし、時には厳しく注意します。逆に、おとなしい子には、必要なときにはしっかりと自分の気持ちを言えるように励まします。そして、常に適切な働きかけをできるよう、日々教職員同士で話し合っています。


他の子どもたちの成長にも気づく親であってほしい

 

 子どもたちも幼稚園の3年間で大きく成長しますが、保護者の皆さんも同じように大きく成長しますし、また成長しなくてはうそだと思います(笑)。それでは、親の成長とは何かというと、私は、子どもたちと同じように、親も「いろいろな子どもたちがいること知る」ことではないかと思っています。男の子もいれば、女の子もいる。活発な子もいれば、おとなしい子もいる。身体の大きな子もいれば、小さな子もいる。お調子者もいれば、慎重な子もいる。さまざまな個性があることを、実は子どもたちは、きいぐみの途中くらいには十分に認識し、その中で友だち関係を育み、上手にやっていくことを学んでいるように思います。


3学期は、最後に「おひなまつり会」があります。保護者の方々にとっては、自分の子どもの成長を知る機会であると同時に、それ以上に、クラスの中にすばらしい個性があることを知る機会です。おひなまつり会の劇遊びは、ともすると舞台の中央で上手にせりふを言う子に目を奪われがちですが、よく見ていると、舞台の上ではそれぞれが一生懸命に個性を発揮しています。
 人前でせりふを言うなんて考えられなかった子が、小さな声で少し聞き取りづらかったけれど、立派にせりふが言えたね。そんな場面こそ見所なんです。特に、あおぐみの劇遊びの発表の後には、お母さん同士、○○ちゃん、立派になったね。××ちゃん、楽しそうに踊ってたね。そんな話が弾むおひなまつり会であってほしい。それこそが、子どもたちと親とともどもに、よい3年間を送ってきた証だからです。

子どもたちの成長に伴い、距離感を調整しましょう

 

 親として何が困るといって、子どもが幼稚園に行きたくない、と言い出すことほど困ることはないですよね。ましてや、それがお友だちとの関係に原因がありそうだ、となると心配することと思います。しかし、集団生活の中で成長していく幼稚園では、そうしたトラブルは、むしろ成長の過程での必然だと私は思います。
 あかぐみでは、そうしたトラブルも比較的単純ですが、きい⇒あお、と進むにつれて、お友だち同士の関係の中での悩み、トラブルがでてきます。繰り返して言いますが、それは成長の過程での必然であり、むしろ歓迎すべきことと考えましょう。(本当ですよ)
 もちろん、そうした心配ごと、気になることは遠慮なく担任に相談してください。けれども、担任はおそらく「大丈夫ですよ。ちゃんと見ていますから」と答えると思います。逆に、担任がそう言わないような深刻な事態ならたいへんです(笑)。でも、そんなことはまずありません。幼稚園では毎年繰り返される成長のドラマなのです。あか⇒きい⇒あお、という成長の過程で、保護者の方も子どもとの距離感を調整し、おおらかに見守ってほしいと思います。子どもたちは自分で人間関係を作り、乗り越えていく力を持っています。「子どもの喧嘩に親が出るな」と昔から言うように、私たち保育者も親も、その力を育むように、(もちろん必要な援助はしますが)おおらかに見守っていきたいですね。

幼稚園が子どもたちをおおらかに見守る場であるために

 12月の保護者会の後に、ひとつの試みとして、儀式殿で自由参加で「お茶会」をしました。あお(年長)きい(年中)あか(年少)それぞれに思いのほか大勢の方が顔を出し、楽しいひと時を過ごせたのではないかと思います。
 子どもたちが健やかに育つために、おおらかに見守ってほしい⇒そのために、自分の子どもだけでなく、クラスの他の子どもの個性や成長にもたくさん気づいてほしい⇒そのためには、クラスの他の保護者の方とも話をして、いろいろな違いを感じながら、懐の広い親になってほしい。ということで行った試みです。今後も、ときどき行いたいと思いますので、気軽に参加してください。

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