園長のコラム

園生活の中での日々の子供たちとの関わりから、私たち大人が「よりよく生きる」ことを考える・・・「幼児教育」をテーマに神明幼稚園の園長自らが、思いを綴ります。

第10回 あらためて「あそびこむ」を考える

 


「あそびこむ」とは豊かに遊ぶこと。子どもたちの遊びと生活の質にこだわりたい


 そんな願いを、この「あそびこむ」という言葉にこめて神明幼稚園のテーマにして、もう10年以上になります。私たちの願いを一言で表す、とてもいい言葉だととても気に入っています。
 その一方で「あそびこむ」という言葉から、「自由保育」を連想したり、「どろんこ保育」「わんぱく保育」のようなイメージを持つ方もいるようですが、「あそびこむ」=「自由保育」ではありませんし、「あそびこむ」=「どろんこ保育」「わんぱく保育」という意味でもありません。そのあたりの微妙なニュアンス?をこの機会にお話したいと思います。
 

  「楽隊あそび」を例にあげてお話しましょう。神明幼稚園の運動会では、あおぐみの「楽隊パレード」は、きいぐみ・あかぐみもダンスや応援で参加して、花形的な存在ですね。皆さんも楽しみにしていることと思います。この「楽隊パレード」の活動は、もちろん上手に演奏することを目標に子どもたちは一生懸命に練習するのですが、上手に演奏することだけが目的になってしまうと「あそびこむ」ではなくなってしまいます。  
  そこで、神明幼稚園の「楽隊あそび」の活動は、こんな風に進めます。9月になるとあおぐみは、まずいろいろな楽器に触れる活動をします。大太鼓。小太鼓。シンバル。タンバリン。ピアニカ。触ってみて、音を出してみて、楽器遊びをしてみたいな、という興味と意欲をそれぞれにかきたてます。そして今度は、お友だちの前で楽器演奏の発表をします。みんなの前で演奏することは、どの子にとっても緊張する体験です。

 
  こうしたステップを経て、いよいよパート決め。運動会当日に演奏する楽器を決めます。このパート決めも、子どもたちにとって大切な経験です。自分がやりたいと思った楽器に大勢の希望者がいたらどうしよう。逆に、希望者が少ない楽器はどうしよう。子どもたちなりに、どうしたらいいか一生懸命に考えます。全体のために譲り合うことを学ぶことも大切です。 自分のやりたいという気持ちをしっかり伝えて貫く経験も大事です。正解はないのかもしれません。担任は、子どもたちの様子を見守りながら、必要な言葉かけをします。  
  そして、パートが決まると、運動会に向けて練習が始まります。「大太鼓が得意な子」が大太鼓をするわけではなく、「大太鼓をやってみたい子」が大太鼓をするわけですから、初めはうまくいかなかったりもしますが、励まして練習をします。「練習をしてだんだんと出来るようになっていく」という経験は、とても楽しいことだし、その喜びを子どもたちにしっかりと感じてほしいと思います。運動会の当日、子どもたちの表情が達成感で輝いていたら、それが「あそびこむ楽隊パレード」です。

 

よく「子どもの仕事は遊ぶことだ」と言いますが、全くその通りだと思います。幼稚園で子どもたちがすべきことは「よく遊ぶこと」です。「よく遊ぶこと」を通じて、幼児期に学ぶべき様々なことをしっかりと経験すること。それこそが「あそびこむ」だと考えています。

 
  朝「先生おはようございます」と言って幼稚園に来てから、「先生さようなら、皆さんさようなら」と言って幼稚園から帰るまで。朝のお支度も、自由遊びも、お片づけも、クラスの活動も。幼稚園の生活のすべてが「あそびこむ」です。やってみたいという気持ち。できたという喜び。子どもたちの「意欲」と「達成感」を大事にすることこそが、「あそびこむ園生活」だと考えています。

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