園長のコラム

園生活の中での日々の子供たちとの関わりから、私たち大人が「よりよく生きる」ことを考える・・・「幼児教育」をテーマに神明幼稚園の園長自らが、思いを綴ります。

第11回 年齢と発育段階に相応しい保育

 


 神明幼稚園が常に心がけていることの一つが、「年齢と発達段階に相応しい活動をする」と言うことです。
 「早期教育」とか「英才教育」と言って、子どもたちの成長を先取りして、早く早くと急き立てるようなことはしたくないし、意味がないと考えています。「立てば這え、這えば歩めの 親心」とは言いますが、あまり先を急ぐのは慎みたいものです。
 かと言って反対に、子どもたちの成長に気づかず、何時までも幼い赤ちゃんに対するように接するのもいかがなものでしょう。せっかくの子どもたちの自立を妨げてしまいます。現代の子育ての大きな問題は、過保護」「過干渉」「過管理」だという話を聞いたことがありますが、思い当たる節のある方も多いのではないでしょうか。

 神明幼稚園では、年少(3歳児)年中(4歳児)年長(5歳児)の発達課題を、それぞれ次のように考えています。

 まず、年少(3歳児)で大切な課題は、なんと言っても「身辺自立」です。自分で自分の着替えができる。靴を自分で履き替える。トイレに一人で行く。自分でご飯をこぼさずに食べる。毎日の生活の中にまさにこの時期に獲得すべき身辺自立の課題がたくさんあります。ご両親は、ぜひ「もう赤ちゃんではない」ということを認識して、日々の生活の中で少しずつ自分で自分のことが出来るように心がけて励まして欲しいと思います。
 幼稚園の毎日の生活の中でも、帽子や園服、かばんなどを毎朝きまった自分の場所に自分でしまうこと。お弁当を自分でかばんから出して支度をして、残さずにこぼさずに自分で食べること。お片づけの時間になったら自分が遊んでいたおもちゃなどを自分で片づけること。などの小さな課題を少しずつ確実に出来るようになるよう言葉かけをして励ましています。
 一方で、3歳児の段階では、お友だちとの関係を上手に処理していくことは難しい課題です。この時期の子どもたちはまだまだ「自己中心的」で、相手の立場になって考えることが出来ないのです。幼稚園に入って最初の保護者面談で、「まだうまくお友達と遊べません」という相談をよく受けますが、「それはこの時期には当たり前のことですからまだ心配いりませんよ」とお答えします。

 次に、年中(4歳児)になると、人間関係の理解が進んでくることを感じます。お友だちと遊びたい!という欲求が強くなってきますが、まだ相手の立場になって考えることが上手でないので、友人関係のトラブル(つまりケンカやイザコザ)が増えて、親が気をもむことが多くなるのもこの時期です。
 お友だちとの関係が豊かになるのに伴って、子どもたちの言葉もまた豊かになってきます。「あのねの時代」という言い方で表現する人もいますが、「あのね」「あのね」といろんなことを言葉で伝えようとするようすが見られます。
 「大きな赤ちゃん」が「小さな子ども」へと、劇的に変化していく時期なので、発達の個人差も目につくようになり、親にとっては周囲の子と比べて「差」が気になることもあるようです。他の子と比べるのではなく、その子の育ちと変化をしっかりと見守っていきたいものです。

年長(5歳児)になると、子どもたちはずいぶんとたくましくなり、「すっかり1人前の人格」を持つようになります。それぞれの個性が発揮されるようになり、またお友だちの個性を認めることも出来るようになります。幼稚園の生活の中では、ケンカをしても子どもたちの中に仲裁者が現れ、彼らなりにうまく対処する姿が見られるようになります。すべての場面で保育者が関わってしまうのではなく、子どもたちどうしのトラブルは子どもたちの中で解決していくように、保育者は見守ることを心がけています。おうちの中でも、5歳児なりの役割を与えて、ときには幼いなりに「1人前」の扱いをすることもたいせつだと思います。
子どもたちの個性は一様ではなく、様々な個性が発揮されるようになるので、保育者の言葉かけも工夫が必要です。自己主張が強い子には、時には自分の気持ちを抑えて我慢をすることを経験して欲しいと思いますし、いつも周囲のことを考えてしまう子には、時には自分の気持ちを貫いてごらんと励ますこともたいせつです。

 3歳児、4歳児、5歳児、それぞれの発達の特徴を急ぎ足で紹介しましたが、間もなく行われる運動会では、それぞれの発達段階という視点から子どもたちの様子を見てみると面白いですよ。
それから運動会の前にいつも申し上げていることですが、ビデオカメラの小さなファインダーからわが子だけを見つめていると、見落としてしまうことがたくさんある気がします。時にはビデオカメラのスイッチを切って、みなさんの二つの目で、いろんな子どもたちのいろんな様子を見て欲しいと思います。その中であらためて見えてくる「わが子の個性」や「わが子の成長」が、運動会のいちばんの見所かも知れません。

 

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